【実例】生成AIによる業務効率化事例10選|失敗しない成功ポイント

今や誰もが気軽に使っている生成AIですが、ビジネスに使用するとなると難しいと感じていませんか?業務効率化を図るために使用したいと考えていても、「結局、どの業務をどのくらい効率化できるのか」ということを具体的には知らない人も多いのではないでしょうか。

急速に進化している生成AIに関するノウハウが社内に少なく、自社で活用するイメージが持てないまま検討が止まってしまうケースも少なくありません。

一方で、既に多くの企業では、生成AIの活用によって特定業務の時間や工数を大幅に削減するという成果を出しています。生成AIを業務効率化に使用する上で重要なのは、ただ「AIを導入すること」ではなく「AIにどの業務をどのようにやってもらうか」を正しく選択することです。

この記事では、実際に時間や工数を削減し業務効率化を行った企業の、生成AIの利用例を業務別に紹介します。さらに、その事例を踏まえ、自社で生成AIを活用するための始め方について解説していきます。

本記事を読むことで実際の事例を参考にして、業務改善の手段として生成AIをどのように使っていくのかを具体的にイメージできるようになるはずです。

目次

1.生成AIとは?業務効率化で注目される理由を簡潔に解説
2.生成AIで業務効率化しやすい業務領域とは?
3.【業務別】生成AIによる業務効率化事例
4.自社に合う「生成AIx業務効率化」テーマの見つけ方
5.まとめ

生成AIとは?業務効率化で注目される理由を簡潔に解説

今さら聞けない…生成AIとは何か?

生成AIとは、ユーザーの指示を手がかりに、文章やコード、画像などを自動で生成できるAI技術の総称です。従来のAIは、「分類・予測」といったことを得意としていました。一方で、生成AIは文章を作成するというような下流工程を代替もしくは補助できるという点が大きな特徴です。議事録の作成や資料の下書き、FAQの回答作成など、時間のかかる業務を短時間で処理することができます。

なぜ生成AIは業務効率化と相性がいいのか

日々の業務の中で大きな負担になりやすいのは、採用不採用といったような判断そのものよりも、「調べる・まとめる・書き直す」といった工程です。生成AIを利用すると、この部分の負担を大幅に軽くすることができます。

生成AIで業務効率化しやすい業務領域とは?

生成AIは全ての業務を効率化できるわけではありません。効率化の効果が確認しやすい業務にはいくつか共通する事柄があります。ここでは、実際に業務効率化が行われている業務領域について述べます。

文章・資料作成:AIは構成や要点整理が得意

提案書や報告書、マニュアルなどの文書作成は、生成AIと相性が良い業務の1つです。作成する文書の構成案や、要点整理をAIに任せることで人が作成する時間を大幅に短縮できます。人は内容の正確性や文書に関する意思決定を重点的に行うことができるようになるため、結果として、品質面も向上します。

問い合わせ対応・社内FAQ:内容が似通っているものはAIにおまかせ

社内外からの問い合わせ対応は、内容が似通っていることが多く、生成AIによる自動化・半自動化がしやすい業務です。一次対応をAIに任せることで、担当者はより難しい判断が必要な問い合わせの対応に時間をかけることができます。

企画・マーケティング・コンテンツ制作:AIは補助的に利用できる

企画立案やキャッチコピー作成の初期段階では、生成AIを用いることで、人間の思考の手助けができます。完全にAIに頼むわけではなく、人の判断を前提とした補助的なものとして使うことで、企画というアイデアが求められる領域でもAIを活用することができます。

バックオフィスの定型業務〜決まった作業こそAIに〜

稟議書や社内通知、文書の要約というような文章の体裁を整える業務は生成AIが得意とする分野です。作業時間の短縮に加えて、全社的に表現を完全統一化することも簡単にできます。

開発部門でのコード生成・テスト支援〜テストケースの検討を削減〜

生成AIは、コードのたたき台を作成することも可能です。さらに、コードを読み込ませた上でテストケースの案やエラー原因の整理などを頼むことができます。開発スピードが格段に上がることが予想されます。

【業務別】生成AIによる業務効率化事例

ここからは、実際に業務効率化に成功した企業の事例を業界別に紹介します。 の生成AIによる業務効率化の事例を業界別に紹介します。実際の事例を参考に、自社でどのような効率化が図れるか想像してみてください。

営業部門の生成AI活用事例:資料作成時間を半分に

NECでは、社内チャットやWeb会議ツールなどの社内システムと連携をさせた生成AIを業務で利用しています。その結果、資料作成時間の50%を削減しました。さらに、議事録を自動生成することができるようになったことで、従来30分程度かかっていたこの作業を約5分まで短縮することに成功しました。営業部門で頻度の高い業務を効率化の対象にしたことで、社員が体感しやすい効率化につながっています。

日清食品ホールディングスでは、営業・マーケティング部門を含む約30業務に生成AIを導入しています。具体的には、売り場企画の案出しや資料の作成に生成AIを活用しています。対象業務の中で使用できるプロンプト(AIへの指示文)のテンプレートを作成しました。これによって、AIを使用することに慣れていない人でもその効率化を体感することができます。今後は、文章だけでなく、画像や音声認識に使用できるようにしたいそうです。

バックオフィス・総務部門の業務効率化事例:問い合わせ件数を31%削減

グリコグループでは、バックオフィス部門への問い合わせに生成AIのチャットボットを導入しました。社内での問い合わせ対応が上位を占めていることから、各部門の担当者がまとめたFAQを生成AIに学習させました。これによって、就業規則や申請手続きといった定型質問であれば生成AIが回答できるようになりました。結果として、社内問い合わせの件数を約31%削減しています。担当者は、簡単な質問対応ではなく、他の業務に注力できるようになりました。

経理・会計業務のアウトソーシングを行う会社では、月に約150時間以上の作業時間を削減しました。生成AIを使用することで、請求書や入出金のデータを自動でシステムに入力できるようになりました。転記や振込といったような繰り返し起こる業務を自動化することで、金額のミスによる修正といった付随業務も削減されました。

カスタマーサポート・コールセンターの業務効率化事例:解決までの時間を82%削減

Klarnaでは、生成AIを活用したカスタマーサポートを導入しています。AIが問い合わせチャットの3分の2に相当するやりとりを行い、用件解決までの時間が従来は11分だったのに対し、2分に短縮されました。再度問い合わせることも減少しており、カスタマーサポートの対応品質と業務効率の両方が改善されています。

JR西日本カスタマーリレーションズでは、応対記録の要約処理の効率化と、各オペレータによる要約品質のばらつきを軽減することを目的に生成AIを導入しました。電話を要約するAIを導入したことで、要約の作成とチェックによる負荷が減り、さらに、要約の品質が保たれるというメリットがありました。結果的に、AIを利用したことで、電話後の処理時間が最大で54%効率化されました。

製造・現場・IT運用部門の業務効率化事例:50%の業務時間短縮

富士通とトヨタシステムズでは、システム運用や更新業務に生成AIを活用しています。OSなどのアップデートに伴って発生する互換確認やプログラム修正を自動化することで、従来と比較して約50%の業務時間短縮につながりました。今後は、他のプログラミング言語やテスト工程でも適用範囲を広げて、効率化を進める方針です。

プレス加工や金型の設計を行う企業では、画像検査システムに生成AIを活用しました。これにより、検査時間を40%も削減することに成功しています。従来は、非常に小さな半導体レーザ部品の検査を顕微鏡を用いて目視で行っていました。非常に長い時間をかけて行わないと完了しない業務でしたが、生成AI導入後は目視検査の量が96%削減され、業務効率化につながりました。

全社横断・ナレッジ活用の業務効率化事例:連関44.8万円時間削減

アトレでは、AIメンターという社員に寄り添う活用方法を実施しています。行っているのはAIとの対話によって、社員一人一人の挑戦をサポートするという取り組みです。実際に、資料作成や売り上げデータの分析を生成AIに頼ることで、ショップとの会議といったような創造的な業務に社員は時間を費やすことができるようになりました。これは、会社が生成AIの利用をサポートするような講習などを開いていることも効果的で、利用率は8割を超えています。

パナソニック コネクトでは、社内AIアシスタントを導入し、年間で約44.8万時間の労働時間削減を達成しました。プログラミングでは、コード全体の生成や書き直しでの活用が行われました。また、作業手順書の作成や、アンケートのコメント分析という多岐にわたる活用がなされています。社員のAI活用スキル向上により、昨年比2.4倍の削減時間という実績となり、AI活用には社員それぞれの意識も重要であることがわかります。

自社に合う「生成AIx業務効率化」テーマの見つけ方

事例を知っただけでは、業務効率化には至りません。一番重要なのは、自社で再現できるテーマを見つけることです。ここでは、どのようにして自社で生成AIを活用できるのか、そのステップを順に紹介します。

業務を棚卸しし、無駄を洗い出す

まず、日常の業務を書き出します。そして、時間がかかっていることや繰り返し発生している業務を洗い出します。

ここでは、完璧に業務を洗い出すことよりも、実際に働いている社員が感じていることを大事にしましょう。実際に生成AIの業務効率化の恩恵を受けられるのは現場の社員だからです。

生成AIが得意な業務パターンに当てはめる

文章の要約やカスタマーサポートのような文章中心で、成果物の形式が定まっている業務は、生成AIによる業務効率化の効果が出やすいです。

一方で、企画立案などの複雑な業務は人の関与を前提として、AIを補助的に使用するという使い方を考える必要があります。前のステップで洗い出した業務から、AIの活用方法を検討していきます。

効果・実現性・リスクで優先順位を決める

紹介した事例などを参考に、業務時間削減などの導入による業務効率化の効果、導入のしやすさ、リスクの低さという3つの軸を基準にAIを活用する業務の優先度を決定します。初めから大きい範囲に影響が及ぶ活用方法をすると、うまく活用できないことが多いです。スモールスタートで、少しずつ大きくしていくことをおすすめします。

まとめ

このように、生成AIによる業務効率化は既に様々な企業の様々な業務で行われています。現在、ChatGPTやGeminiといったようなAIの種類の増加や進歩は著しいです。さらに、AIの生成物は文章、コード、画像など多岐に渡ります。この膨大な選択肢から、自社に合った生成AIの使い方を見つけるのは非常に難しいことです。
今回紹介した事例を参考に、自社の業務効率化につながるヒントを見つけてみてください。

また、生成AIを活用する上で大事なことは、自社の現状を把握することです。自社が、今現在どのような問題を抱えていて、それをどのように解決していくのかということからまず検討してみてください。