導入実績

Project Stories

創業85年の専門商社が、AIで「見えない無駄」を可視化した。

株式会社アスティックフクシマ様

業種・規模
電気絶縁材料・電子部品・ワイヤーハーネスの専門商社。創業1941年(昭和16年)、85年の歴史を持つB2B製造業向けの中堅企業
研修形式
eラーニング(生成AI基礎)+ 活用事例共有会 全3回
対象
6名:管理本部 副本部長(林氏)+ 営業4拠点の支店長 + DX担当(児玉氏)
研修ツール
ChatGPT・NotebookLM・Genspark・Gamma・Plaud等の複数AIを組み合わせて活用
本社・拠点
本社:大阪府東大阪市/支店:九州・仙台・東京の計4拠点
事業規模
売上高 約55億円(2025年9月期)/従業員 社員63名・パート62名
認定
事業継続力強化計画認定/中小企業テクノフェア出展実績/健康経営優良法人2026(中小規模法人部門)/ISO9001、ISO14001

お話しをお伺いした方

  • 管理本部 副本部長 兼 総務部長 林 晃弘 氏 管理本部 副本部長 兼 総務部長として、その直下に新設された情報システム・DX推進室も管轄する。マレーシア駐在3年を経て2025年4月に帰国。今回の生成AI研修導入の意思決定者であり、ご自身も受講者の1人として参加。

導入のきっかけと背景

株式会社アスティックフクシマは、1941年(昭和16年)創業、85年の歴史を持つ電気絶縁材料・電子部品・ワイヤーハーネスの専門商社です。大阪本社を中心に、九州・仙台・東京の4拠点で全国の製造業を支えてきた、日本のものづくりの基盤を担う企業のひとつです。

生成AI研修の導入を主導した林部長は、2022年2月から2025年4月までの約3年間、マレーシア駐在を経験。帰国直後に肌で感じたのは、日本国内における生成AI活用の急速な広がりでした。

マレーシアでは、ChatGPTを翻訳業務などに使うことはあっても、商談の場で生成AIが話題になることはほとんどありませんでした。
ところが帰国してみると、面会する経営者や営業の方々が、ほぼ例外なく「社内でAIをこのように活用している」というお話をされる。
この温度差を目の当たりにし、当社も個人レベルの調べものに使うようなレベルではなく、業務全体に組み込むかたちで取り組まなければ、確実に取り残されるという危機感を強く抱きました。

管理本部 副本部長 兼 総務部長 林 晃弘 氏

帰国後まもなく、DX推進室とデジタルマーケティング部を兼任していた前任のDX担当者が2025年7月末に退職。両部署は一時的に消滅し、DX推進室の業務は総務部が暫定的に引き継ぐかたちとなりました。その後、9月決算を迎える同社では、新たな期(2025年10月~)の始まりに合わせて組織を再編。総務部の直下に「情報システム・DX推進室」を新設して林部長の正式な管轄とし、デジタルマーケティング部は廃止されました。あわせて管理本部が立ち上がり、林部長は副本部長 兼 総務部長として、総務部とその下の情報システム・DX推進室を統括する立場となりました。この一連の組織再編が、生成AI研修を組織横断的に導入する決断へとつながりました。

The Story

研修から生まれた成果

特定社員の残業時間

月30時間→残業0

年間約180万円規模のコストカット

操作マニュアル作成

90分→30分以下

約67%減

受講メンバー6名の戦略的選定

林部長は、限られた6名の受講枠を「組織への波及」を最大化する観点から戦略的に配置しました。

  • 管理本部の副本部長(林氏)……組織全体を俯瞰する立場として
  • 営業4拠点の支店長(大阪・九州・仙台・東京)……現場の中核として
  • 営業4拠点の支店長(大阪・九州・仙台・東京)……現場の中核として
  • DX専任の児玉氏……ナレッジの蓄積と社内展開の起点として

支店長たちが定期的に提出するレポート作成業務は、データの集約から分析・整形まで含めると相当の時間と労力を要する業務でした。私自身、以前九州支店長を務めた経験からも、その負担の大きさを実感しています。この最も「頭を悩ませる業務」をAIで効率化できれば、支店長自身が便利さを体感し、その経験が各支店の部下たちへの浸透につながると考えました。トップが価値を実感していなければ、組織にAI活用は根づかない。これが今回の人選の核心的な狙いでした。

管理本部 副本部長 兼 総務部長 林 晃弘 氏

研修から生まれた成果の事例

事例 ① 管理本部 副本部長 兼 総務部長(林氏ご自身)

残業データの可視化が、組織を動かした。月30時間→ゼロの劇的変化

Before

特定社員の残業時間:月30時間が常態化

矢印アイコン

After

残業時間ゼロへ

年間約180万円規模のコストカット

【課題】営業4拠点を展開する同社では、各拠点・各社員の残業実態が組織全体として把握しにくい状態にありました。折しも、それまで紙ベースで運用していた勤怠・残業申請のワークフローを、業務効率化・ペーパーレス化とデータ集計・分析を目的にKintoneで電子化したのが、ちょうどこの生成AI研修と同時期(2025年12月ごろ)。これは新生・情報システム・DX推進室の最初の取り組みでもありました。電子化によって蓄積され始めた残業データを、いかに経営判断や業務改善へ活かすかが、次なる課題となっていました。

【取り組み】林部長は、KintoneからCSVで出力した残業申請データを生成AIに読み込ませ、部署別・個人別の分析グラフと残業理由のカテゴリ分析を作成。月次の発表の場で「事実、結果」として可視化しました。

  • 社員の名前を明示しつつ、「良い・悪い」ではなく結果として提示
  • 月次ランキング上位者の固定化を可視化し、業務の平準化が出来ていないことを浮き彫りに
  • 申請理由の傾向分析により、構造的な残業要因を特定

【成果と学び】この取り組みを3ヶ月連続で実施した結果、月30時間規模の残業をしていた社員の残業時間がゼロに。残業代換算で1人あたり年間180万円規模のコスト削減効果と、健康面・組織コミュニケーションの改善が同時に実現しました。

残業データを目に見える形で3ヶ月連続で提示すると、人は確実に動きます。逆に言えば、これまでは「必要だから残業している」という思い込みのもとに、結果的に不要な残業が常態化していたということです。AIが可視化したのは「残業時間」という数字ではなく、組織として認識できていなかった「見えない無駄」そのものでした。

管理本部 副本部長 兼 総務部長 林 晃弘 氏

事例 ② 情報システム・DX推進室 児玉 康成 氏

kintoneマニュアル作成を90分→30分へ。複数AIの連携で属人性を排除

Before

操作マニュアル作成:1本あたり90分

矢印アイコン

After

30分以下に短縮(約67%削減)

誰が作成しても同じ品質を担保できる仕組みを構築

【課題】社内業務システムであるkintoneのアプリ操作マニュアル作成は、毎回ゼロから文章を組み立てる必要があり、1本あたり90分を要する重労働でした。さらに、作成者によって品質や表現にばらつきが生じ、属人的な業務として固定化していました。

【取り組み】児玉氏は、複数の生成AIを連携させる独自のワークフローを構築しました。

  • Googleドキュメントのテンプレートにkintoneアプリの画面スクリーンショットを配置
  • NotebookLMにアップロードし、ChatGPTで整理した定型プロンプトを実行
  • 表現ルール(『』表記・改行・動詞形統一など)を固定化することで、品質を平準化

【成果と学び】この仕組みの確立により、マニュアル作成時間は90分から30分へ短縮。さらに、誰が作成しても同じ品質のマニュアルが出力される「属人性のない業務プロセス」が完成しました。第3回の事例共有会では、林部長を含む複数の受講者から「最もAIを活用して組織に貢献した人物」として児玉氏が指名されました。

1つのツールだけで完結させるのではなく、ChatGPT・NotebookLM・Googleドキュメントを目的に応じて使い分けることで、はじめて実用レベルの自動化が可能になります。AI活用は単一ツール前提で考えず、複数のAIを組み合わせた業務設計を前提に発想することが重要だと、児玉氏の取り組みから学びました。

管理本部 副本部長 兼 総務部長 林 晃弘 氏

管理部長として体感した、AIの本質的な価値

受講者の1人として研修に参加した林部長は、業務の中でNotebookLM・ChatGPT・Plaudなど複数のAIを使い分け、管理職としての仕事のあり方そのものを変革しました。

特に大きな効果を実感したのが、社内データを集約したナレッジベース型の活用です。会社の業務データや決算関連資料をNotebookLMに読み込ませることで、専門家への相談業務の多くを自己解決できるようになりました。

決算書や税務関連の資料をすべて読み込ませておけば、税理士や社労士に確認していた内容の多くが、その場で回答として得られます。もちろん最終判断は専門家に確認しますが、「これは正しい処理なのか」「税法上問題はないか」といった日常的な疑問への一次回答が24時間いつでも得られる。アドバイザーとしての精度は極めて高く、判断のスピードが格段に上がりました。

管理本部 副本部長 兼 総務部長 林 晃弘 氏

打ち合わせやセミナーへの参加スタイルも変化しました。Plaudを使った録音と要約のワークフローにより、メモを取る作業から解放され、対話そのものに集中できる環境を確立。情報の取りこぼしが減り、後からの検索性も大幅に向上しています。

もし3年前の世界に戻って、AIが使えなくなったらと想像すると、正直、息苦しくなります。一度この快適さを経験すると、もはや「AIなしでは仕事の質を保てない」という感覚です。

管理本部 副本部長 兼 総務部長 林 晃弘 氏

同じような課題を持つ企業へのメッセージ

85年の歴史を持つ専門商社の管理部門責任者として、林部長から、同様にAI導入を検討する中堅企業の経営者・管理職へのメッセージをいただきました。

管理部門こそ、AI活用の効果がすぐに現れる領域です。まずは社内に蓄積されたデータをNotebookLMのようなツールに読み込ませ、「いつでも質問できる相談相手」として使ってみることをお勧めします。打ち合わせの録音・要約、決算データの分析、業務マニュアルの整備など、複雑な準備をしなくても、即座に効果を実感できる用途は数多くあります。

管理本部 副本部長 兼 総務部長 林 晃弘 氏

AIの本当の価値は、単なる業務効率化ではなく、組織として認識できていなかった「見えない無駄」を可視化してくれる点にあると感じています。当社の残業データの事例のように、データを見せ続けることで人は動き、組織は変わっていく。AI活用は、経営者・管理職にとって「組織を動かす新しい武器」だと言って差し支えありません。

管理本部 副本部長 兼 総務部長 林 晃弘 氏

貴社のAI実装の壁は、どこにありますか。
貴社のAI実装の壁は、
どこにありますか。