導入実績

Project Stories

創業68年の葬儀社が、AIで未来を見据えた。

株式会社たかはし葬儀社様

業種・規模
葬祭業務全般を中心に、生花・仏壇仏具・神具・墓石・少額短期保険までを手がける総合葬祭企業。宮城県名取市の本社に加え、仙台市内で「杜の都の家族葬」ブランドの斎場を3拠点運営
研修形式
eラーニング(生成AI基礎)+ 活用事例共有会 全3回+ ファシリテーター育成MTG
対象
4名:バックオフィス2名・葬祭部門2名
研修ツール
Microsoft Copilot・ChatGPT
沿革
1958年創業/1984年法人化/2011年東日本大震災で本社全壊からの再建を経た企業
評価・加盟
JECIA(日本儀礼文化調査協会)最上級5つ星認定/全葬連加盟/宮城県葬祭業協同組合会員

お話しをお伺いした方

  • 代表取締役 髙橋 建隆朗 氏 1958年創業・宮城県名取市拠点の葬儀社の代表。
    「変化していかなければ、淘汰される」という強い信念のもと、生成AI研修を即断で導入。
    業界全体の改革にも問題意識を持つ。
  • 営業部葬祭課 係長 髙橋 章郎 氏       

導入のきっかけと背景

株式会社たかはし葬儀社は、1958年の創業から68年、宮城県名取市・仙台市を拠点に、ご遺族の立場に寄り添う真心と誠意のお手伝いを理念に掲げ続けてきた葬儀社です。2011年の東日本大震災では本社社屋が全壊しながらも再建を果たし、その後も家族葬専用ホールの新設、新ブランドの立ち上げ、会員制度の拡充など、伝統を守りつつ常に変化に挑み続けてきました。

葬儀という、最も「人の心」と向き合う業界において、髙橋建隆朗代表は生成AI研修の導入を即断されました。その判断の背景には、経営者ならではの強い時代認識と危機感がありました。

私のような立場にある経営者は、新しい技術や仕組みに可能性を見出した時、その判断を先送りにせず、率先して挑戦することが責務だと考えています。業界のトップ企業に肩を並べるためには、社内の改革を絶えず重ねていく必要があります。今回の生成AIについても、本質的な可能性を見極めた上で、迷うことなく導入を決断いたしました。

髙橋 建隆朗 氏 代表取締役

葬儀業界全体としては、人手不足・若手の業界離れ・業務の属人化に加え、近年は全国展開型の新興葬儀社による単価下落の圧力も顕在化しています。このような厳しい競争環境において、地域の葬儀社がどのように生き残るか――その答えのひとつとして、AI活用への挑戦が選ばれました。

The Story

研修から生まれた成果

勤務シフト作成

2時間→30分

75%減

オプションの受注率

33.3%→60.9%

82.9%増

業績の集計作業

40分→15分以下

62.5%減

受講メンバー4名の戦略的選定

髙橋代表は、限られた4名の受講枠を「組織への波及」を意識して戦略的に配置しました。

  • バックオフィスから2名:急成長する組織を支える中心メンバーを選定し、PC業務に精通する人材に新しい技術の引き出しを増やしてもらう
  • 葬祭部門から2名:日々の現場で売上を生み出す中心人物を選定し、業務にAIを浸透させ、現場発の改革を推進

一人だけの受講では、何らかの事情で業務を離れた際のリスクが大きく、推進力も限定的になります。バックオフィスと葬祭部門からそれぞれ二名ずつという構成は、リスク管理と推進力の双方を確保するための意図的な配置でした。

髙橋 建隆朗 氏 代表取締役

活用事例共有会から生まれた4つの成果

3ヶ月にわたる研修と全3回の活用事例共有会を通じて、4名の受講者がそれぞれの業務にAIを取り入れ、具体的な成果を生み出しました。葬儀業界という業務特性を踏まえた、現場の生々しい変化をご紹介します。

事例 ① バックオフィス 佐藤 忍 氏

勤務シフト作成業務 ── 属人化していた暗黙知を、AIとの対話で言語化

Before

勤務シフト作成:1ヶ月分で2時間

スタッフの希望取りまとめ+調整作業を全て手作業

矢印アイコン

After

作業時間30分へ短縮。

Copilotとの対話を通じて「ルール」を言語化し、属人性を解消

葬儀社における勤務シフト作成は、休日希望・有休取得・スタッフ間の組み合わせなど多くの条件を踏まえる必要があり、毎月2時間を要する重労働でした。さらに、担当者の頭の中にあった暗黙の判断ルールが多く、属人的な業務として固定化していました。

Microsoft Copilotとの対話を通じて、シフト作成の「ルール」自体をExcel上で言語化することに取り組み、3ヶ月の事例共有会を経て、最終的には作業時間を30分まで短縮することに成功。何より大きな成果は、これまで担当者の経験と勘に依存していた業務プロセスが、組織として共有可能な「言語化された資産」へと変わったことです。

AIから逆に質問を受けることで、「自分が本当は何を考えていたのか」「どんなルールに従って判断していたのか」に改めて気づかされる場面が多くありました。長年の経験で暗黙のうちに判断していた業務が、言葉として整理されていく。これは時間短縮以上に、組織にとって大きな価値だと感じています。

受講者コメント

事例 ② 葬祭部門 髙橋 章郎 氏(攻めの改善)

湯灌オプションの受注率が、ほぼ2倍に。営業トークの体系化が個人差を解消

Before

湯灌オプションの受注率:33.3%

担当者ごとに大きな個人差

矢印アイコン

After

受注率が60.9%

担当者全員が目標である50%を大きく上回る水準に到達

葬儀における湯灌(ゆかん)オプションは、ご遺族にとっても故人にとっても大切な儀式でありながら、金額面のハードルや営業トークの個人差により、受注率にばらつきが生じていました。この課題に対し、4名の中で唯一「攻めの改善」を選択した取り組みです。

Copilotを活用し、お客様に寄り添ったより良いご提案をする為に、打ち合わせ導入前のトーク内容を体系化。各営業担当者の声を集約してAIと対話することで、ご遺族の心情に寄り添う最適な営業手法を構築しました。

お客様の想いを形にするための話し方や提案方法が、これまでの「型」とは根本的に変わりました。選択肢を提示しながら、「これがあった方が良い」という流れを自然に作るご案内の手法を、AIとの対話の中で発見できました。営業力の向上が、結果としてご遺族の満足度向上にもつながっているはずです。

髙橋 章郎 氏

事例 ③ バックオフィス 佐藤 凌 氏

見積書から発注書を自動生成。祭壇生花36種類の判別もAIが担当

Before

発注書作成:見積書をもとに発注書を手作業で作成

矢印アイコン

After

見積書をAIが読み取り発注書PDF出力
手書き名札の自動出力まで実現

葬儀手配における発注書作成は、見積書をもとに祭壇生花・お菓子・供物などを手配する業務であり、生花だけでも36種類の判別が必要な専門性の高い作業でした。ChatGPTに過去の見積書と発注書を学習させ、自動生成する仕組みを段階的に構築。3回の事例共有会を通じて機能が拡張されていきました。

  • 第1回(1月):見積書から花束・お菓子の自動判断とPDF出力を実現
  • 第2回(2月):祭壇生花36種類の判別機能を追加
  • 第3回(3月):手書きしていた供物名札の自動出力(「祭壇供物 ○○家」形式)にも対応

まとめて一度に複数の指示を出すのではなく、会話するように一回ずつシンプルに指示を出した方が、求める結果が安定して得られると気づきました。AIを使いこなす上で、技術ではなく「対話の作法」が最も重要だと実感しています。

佐藤 凌 氏

事例 ④ バックオフィス 畑山 恩 氏

業績集計業務の効率化と、葬儀業界特有のセキュリティ対策の両立

Before

業績の集計作業:40分/回

注文書・手配書から手作業で項目を抽出・集計

矢印アイコン

After

15分以下/回へ短縮

情報セキュリティ対策も並行して実施

葬祭業務では供花・供物の取扱実績を継続的に集計する必要があり、毎回40分の作業時間を要していました。AIによる効率化に加え、お客様の個人情報を多く扱う葬儀業界として特に重要な「セキュリティ対策」を並行して実施した点が、本事例の特徴です。

  • 当初使用していたChatGPTから、データガバナンスの強化された法人契約のCopilotへ移行
  • 見積書をAIに読み込ませる前に、個人情報を削除する運用フローを確立

「AIを使ってみたい」と思った時に、自分の頭で考えるだけでなく、相談できる相手(ChatGPT、Copilot)がいるという安心感は、想像以上に大きかったです。「もしかしたら出来ないかもしれない」と思うことも、「出来る」に向けて一緒に考えながら進められる。これがモチベーションにもつながりました。

畑山 恩 氏

組織全体への波及効果

4名の受講者の変化は、社内の他のメンバーにも確実に波及しています。社内のPC環境ではCopilotを全員が使える状態に整備し、葬祭部門の現場でも「AIで分析するとこういう結果だったから、これを試してみよう」という会話が自然に生まれるようになりました。

事例共有会についても、研修終了後に自主的に毎月継続されており、「学び合う仕組み」が組織文化として定着しています。

現場のスタッフが「AIで分析するとこういう結果だったので、これを試してみましょう」という言い方を自然にするようになりました。AIが組織の中で「使う道具」を超えて、「相談できる相手」として定着し始めている手応えを実感しています。

髙橋 建隆朗 氏 代表取締役

葬儀業界の構造変化と、私たちが選ぶ道

髙橋代表は、宮城県葬祭業協同組合の理事として、業界全体への問題意識も強く持っています。全国展開型の新興葬儀社による空中戦と地上戦の組み合わせ、それに伴う単価下落、若手の業界離れ――地域の葬儀社が直面する課題は、決して軽いものではありません。

しかし髙橋代表は、こうした構造変化に立ち向かう道筋を、明確に描いています。

私たちのような地域に根ざした葬儀社の本分は、何よりも誠実にお客様と向き合うことにあります。だからこそ、バックオフィスの効率化や営業力の強化といった「人にしかできない仕事に注力するための土台作り」をAIで進めることに、大きな意味があると考えています。AIは効率化にとどまらず、スキルアップのきっかけにもなり得る。攻めと守り、その両面で組織を支える存在になるはずです。

髙橋 建隆朗 氏 代表取締役

変化することを恐れていては、時流に取り残されて淘汰される時代です。新しいものに先んじて挑戦し、可能性を見極めたものは迷わず取り入れる――これが68年続いた会社が、これから先も続いていくために不可欠な姿勢だと考えています。

髙橋 建隆朗 氏 代表取締役

同じような課題を持つ企業へのメッセージ

葬儀という、最も「人情」と「伝統」を大切にする業界の我々が、AI活用に踏み切りました。同じように業界の構造変化に直面している地域企業の経営者へ、髙橋代表からメッセージをいただきました。

まず試してみる――これに尽きるかと思います。実際に使ってみて自社に合わなければ、その時に止めればよいだけのことです。それも一つの経営判断です。とくに補助金を活用できるタイミングであれば、試さない理由はないのではないでしょうか。地域の中小企業こそ、新しい技術を取り入れて、お客様により深く向き合う時間を確保していくべきだと、強く思っています。

髙橋 建隆朗 氏 代表取締役

貴社のAI実装の壁は、どこにありますか。
貴社のAI実装の壁は、
どこにありますか。