導入実績

Project Stories

生成AIが、北海道の総合企業を動かし始めた。

北電興業株式会社様

業種・規模
電柱広告・省エネ・不動産・リース・土木・温浴など多角経営 北海道電力グループ企業
研修形式
eラーニング(Copilot中心)+ 活用事例共有会(全3回)
対象
各部門から選抜した社員(企画・経理・営業・土木・設備・品質管理等)
研修ツール
Microsoft Copilot(エンタープライズ版)
北電興業株式会社様の導入インタビュー時の写真

お話しをお伺いした方

  • 企画部 企画経理グループ 係長 土岐瞬一郎 氏

導入のきっかけと背景

北電興業株式会社は、北海道電力グループの一員として、電柱広告・省エネサービス・不動産・リース・温浴事業など、多岐にわたる事業を北海道全域で展開する総合企業です。従業員数は数百名規模、複数の事業部門を抱える組織として、長年にわたり地域に根ざした事業を営んできました。

そんな同社に、生成AI活用の波が訪れたのは2025年度のことです。直接のきっかけは、社内パソコン全台をWindows 10からWindows 11に更新するという大規模なシステム移行計画でした。Windows 11へのアップグレードに伴い、Microsoft 365も同時にバージョンアップを予定していましたが、その際に標準搭載されるMicrosoft Copilotの存在が、生成AI導入の扉を自然に開くことになりました。

Windows 11、M365の導入に伴い、Microsoft Copilotが標準機能として利用可能になることが分かりました。

社内でも以前より「生成AIを業務に使用したい」という声があったため、これを機会に、組織として生成AIの業務活用を検討しよう。というきっかけとなりました。

担当者・土岐 瞬一郎 氏

しかし、前向きな気運がある一方で、現実的な課題も見えていました。社内のITリテラシーは決して均一ではなく、Officeツールの活用スキルですら部門・個人間でばらつきがある状態でした。そこに生成AIという、さらに新しい概念が加わる。「果たして現場に浸透するのか」という懸念は、担当者も率直に持っていたと言います。

社内のITリテラシーには一定の差があり、新しい技術を自発的に使いこなす層と、どうしても距離を置いてしまう層が生まれる可能性は、当初から想定していました。
生成AIを一部の“詳しい人だけのツール”にしないために、どう教育設計すべきかは、導入段階から強く意識していました。

担当者・土岐 瞬一郎 氏

それでも同社が研修導入に踏み切ったのは、生成AI活用・業務効率化・業務標準化の推進が当期の経営方針のひとつとして明確に掲げられていたからです。経営層のコミットメントがあってこそ、現場への落とし込みに真剣に向き合えると、担当者は振り返ります。

トライフォースを選んだ理由

担当者の土岐氏は、役員への説明責任を果たすために、1社から営業を受けたからといってすぐに決定するのではなく、複数の生成AI研修・eラーニングサービスを幅広く調査・比較しました。市場にはさまざまな選択肢がありましたが、その多くは「動画を見て終わり」か「ハンズオンで一通り触れる程度」という内容だったといいます。

複数の研修サービスを比較しましたが、動画視聴が中心で、知識習得に留まる内容が多い印象でした。
それ自体は有効ではあるものの、「自分の業務でどう使うか」「翌日から何を変えるか」まで踏み込めなければ、組織としての変化にはつながらないと感じていました。

担当者・土岐 瞬一郎 氏

こうした比較の中で、トライフォースの提案が際立っていた点が「活用事例共有会」という仕組みの存在でした。参加者全員が月に一度、自分の業務における生成AIの活用事例を発表し、部門を横断して水平展開していくというアプローチは、他社にはないものでした。

「研修で終わらせない」「現場への定着まで設計する」というこの考え方は、役員層にも支持を受けたポイントです。

The Story

研修から生まれた成果

定型書類の処理

最長60分→約10分

約83%減

緊急報告書の作成

15分→1分以下

約93%減

仕様書作成

約30分→約5分

83%削減

データの集計・グラフ作成・分析

約2時間→算出自動化

二極化を防ぐための研修設計

「ITリテラシーの高い人だけがAIを使い、それ以外の人は置き去り」という状態を避けるために、北電興業では研修をいくつかのステップに分けて丁寧に設計しました。

  • ステップ1:全社員向けにAI基礎教育(情報セキュリティ・リテラシー)を先行実施
  • ステップ2:生成AIリスキリング研修は挙手制とし、参加する意欲のある社員を選抜
  • ステップ3:研修前に事前説明会を実施し、参加者の目的意識・期待値を調整
  • ステップ4:活用事例共有会を毎月開催し、参加者全員が実践・発表を義務化

情報セキュリティの面でも組織として整備を進め、社外への情報流出リスクを抑えつつ、安心して使える環境を社員に提供しました。

研修後に起きた変化

研修後、最も担当者が実感した変化は「数値」ではなく「雰囲気」の変化でした。統計的な利用率などは把握していないと正直に認めつつも、組織の中で何かが動き始めていることを、日常の中で肌で感じていると言います。

研修後、私自身が最も変化を感じているのは、従業員から直接声を掛けられる機会が明らかに増えたことです。

「生成AIでこんなことをしたいのだが、どう使えばいいか」「こんな使い方を試してみたら、こんな結果になった」といった具体的な相談や雑談が、日常的に寄せられるようになりました。

数値で測れる段階には至っていませんが、生成AIが“話題になる存在”から“業務の選択肢の一つ”として認識され始めていることを、現場との対話を通じて実感しています。

担当者・土岐 瞬一郎 氏

2026年度に向けては、活用事例共有会の再開と、定着度をさらに高めるための次の施策を現在検討中。「これで終わりにするつもりはない」という担当者の言葉に、組織としての本気が伝わってきます。

社内での生成AI会話

研修前と比べて明らかに増加

活用事例共有会

全3回実施・全参加者が毎月発表

2026年度の方針

継続・深化施策を現在設計中

活用事例共有会から生まれた5つの成果

全3回にわたる活用事例共有会では、各部門から多彩な事例が報告されました。「ベテランも新入社員も、自分の業務でAIを試してみる」という文化が、少しずつ芽吹いてきています。以下にその代表事例をご紹介します。

事例 ① 管理部門

60分かかっていた書類処理が、1ヶ月で10分に。目標を大幅に前倒した自動化の軌跡

Before

定型書類の処理:月200件超、1件あたり最長60分

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After

1件あたり約10分へ(従来比 約83%削減)

※目標の一件あたり30分を1ヶ月で突破

【課題】月に200件を超える定型書類への対応は、この部門における最大の業務負担のひとつでした。1件あたり最長60分を要することもあり、担当者の時間をひたすら消費し続けていました。最初に設定した目標は「3ヶ月後に30分まで短縮する」こと。決して低くはないハードルでしたが、Copilotとの格闘の中で、想定をはるかに上回る成果が生まれました。

【取り組み】担当者がまず行ったのは「全体像の把握」でした。個々の作業に飛びつくのではなく、Copilotに処理フロー全体を整理させることから始めたのです。Copilotが30秒で把握した全体設計をもとに、以下のような自動化の流れを構築しました。

  • 書類データをクラウドストレージの指定フォルダへ保存
  • Copilot / Power AutomateがPDFからデータを抽出し、中間Excelへ自動追記
  • Copilot for Excelが中間データをテンプレートの各項目へ自動転記
  • 処理済みデータをPDF形式で出力(ファイル名・内容を自動生成)
  • Outlookで送付用の下書きメールを自動作成(件名・本文・添付ファイルを自動設定)

【成果と学び】目標期限の3ヶ月を待たず、わずか1ヶ月で1件あたり約10分という水準を達成。「まず全体像をCopilotに整理させ、そこから個別の作業を設計していく」というアプローチの有効性を、この事例は鮮やかに示しています。

事例 ② 資材管理部門

写真2枚で在庫量を推計。AIとの対話で生まれた「問いかけ型」の仕事術

Before

倉庫内在庫を目視確認・手動集計

リアルタイム把握が困難な状態

矢印アイコン

After

計測の仕組みを構築

写真2枚+平面図で在庫量の自動推計が可能に

【課題】倉庫内に積み上げられた資材の在庫量を正確に把握するには、従来は目視確認と手動集計に頼るしかありませんでした。手間がかかるうえに、タイムリーな数量把握が難しい状態が続いていました。

【取り組み】担当者が取った最初のアクションは、いきなり答えを求めるのではなく、「Copilotに問いかけること」でした。

まず最初にやりたいことをCopilotに質問すること。今回は石膏倉庫の写真を見せて『この写真から在庫量を計算したいのだが、写真以外に何が必要?』と質問することから始めて、必要なものを揃えていきました。

担当者コメント

Copilotの回答をもとに、まず倉庫の寸法をCopilotに認識させるための平面図を作成。複数の写真と平面図(撮影場所・角度を記入したもの)をセットで入力し、在庫量を推計させました。枚数を少しずつ減らしながら誤差が最小となる最少構成を見つけ出し、最終的に写真2枚での推計が可能と判断。Copilotが提案するブラッシュアップ方法も積極的に採用し、計算手法の精度を高めていきました。

【成果と学び】「まずはAIに聞いてみる」という姿勢と、断片的な情報からでもブレスト的に対話しながら精度を高めていけるという発見が、この事例の核心です。一方で、AIは「存在しないもの」の認識が苦手という限界も判明。最終的な判断は必ず人間が行う、という原則も確認されました。

事例 ③ 設備管理部門

報告書作成15分を1分以下へ。VBAコード生成で実現した93%削減

Before

緊急報告書の作成:1件あたり15分

矢印アイコン

After

1件あたり1分以下へ(従来比 約93%削減)

【課題】設備管理部門では、緊急事態が発生するたびに報告書の作成が必要でした。Excelの点検票からデータを拾い、報告書のフォーマットに手で転記する作業が、1件あたり15分を占めていました。件数が増えるほど担当者の負担は積み上がっていきます。

【取り組み】担当者はCopilotに対し、Excelの点検票から報告書内容を自動集約するVBAコードの作成を依頼しました。まず報告書の内容自体を精査し、本当に必要な項目だけを別シートに整理。次に、点検票から必要事項を別シートへマクロでまとめるコードをCopilotに生成させました。複数の事象パターンを学習させ、報告内容を自動要約するロジックも組み込みながら、細かい指示を重ねてコードを完成させました。

【成果と学び】完成したVBAコードにより、報告書の作成時間は1分以下へと激減しました。担当者は「コードを理解するのは難しいが、Copilotが生成するコードにはコメント(説明)が付いているため、指示した内容以外の処理が混入していないかを確認することが重要」と学びました。さらにこの経験を通じて、設備の劣化分析業務にも生成AIが応用できる可能性を発見しました。

事例 ④ 営業部門

30分の仕様書作成が5分に。複数文書の比較分析でひな形を自動生成

Before

仕様書作成:1件あたり約30分

矢印アイコン

After

1件あたり約5分へ(83%削減)

汎用ひな形をCopilotが自動生成

【課題】防犯カメラ設置業務では、契約する自治体ごとに仕様書を一から作成する必要がありました。内容や書式が毎回異なり、担当者は毎回30分以上を費やしていました。類似した作業を繰り返しているにもかかわらず、その労力を減らす手立てがない状態が続いていたのです。

【取り組み】担当者は、過去に成約した複数の自治体の仕様書をCopilotに読み込ませることから始めました。「どのような仕事で、どのような場面で使われるか」という前提を明確に伝えたうえで、複数文書に共通する項目・重要項目を抽出させ、汎用性の高いひな形(Word形式)を作成させました。文字の体裁や配置については細かく指示を重ね、実務に即した形に仕上げました。

【成果と学び】完成したひな形により、仕様書の作成時間は約5分へと大幅に短縮されました。「多量な情報の比較分析にAIの活用は最適」という気づきは、他部門への応用可能性も示唆しています。また、WordやExcelで出力する場合は文字配置・体裁まで細かく指示する必要があるという実践的な学びも得られました。

事例 ⑤ 品質管理部門

主観を排除し、データに語らせる。統計分析の自動化と「客観的判断」の獲得

Before

品質データの集計・グラフ作成・分析:毎回約2時間

手作業で実施

矢印アイコン

After

データの可視化・信頼係数算出をCopilotが自動化

分析基盤を構築

【課題】品質管理業務では、定期的に取得する計測データをもとに品質評価を行う必要がありました。データの整理・集計・グラフ作成・近似曲線の算出まで、すべて手作業で対応しており、毎回2時間程度を要していました。「なんとなく信頼性がありそう」という主観的な判断に頼ることも少なくありませんでした。

【取り組み】担当者はCopilotを使い、過去データから散布図を自動生成・可視化することから始めました。続いて、近似曲線と信頼係数(R²値)の自動算出をCopilotに依頼し、複数のデータ群に対してどの程度の相関性があるかを客観的に評価しました。データの最大値・最小値の抽出やエラー値の削除もCopilotが担当し、分析の前処理を自動化しました。

【成果と学び】最も大きな気づきは「主観的判断をCopilotの統計計算で客観化できる」という点でした。データに対して人間が「なんとなく」感じていた感覚を、Copilotが信頼係数という形で数値化し、使える・使えないの判断根拠を明確にしてくれました。マクロとの組み合わせによるさらなる自動化の可能性も確認されています。

導入を迷う企業へのメッセージ

北電興業株式会社は、北海道電力グループの中で、生成AI教育を先駆けて組織的に取り組んでいる企業のひとつです。グループ内の他社から「しっかり教育を進めたい」という声が上がっているほど、その取り組みへの関心は高まっています。

そんな同社の担当者・土岐氏が、同じように導入を迷う企業の担当者に向けて、こう語ってくれました。

AIはあくまで手段であって目的ではありません。会社として『こういう働き方を実現したい』という経営方針を明確にした上で取り組む必要があります。そもそもAI何を使えばいいかわからないというのであれば、まずはきっかけとしてこういったセミナーを利用してみて、強制的に学ぶというのは、何もしないよりはいいと思います。

担当者コメント

前提として、情報セキュリティを含めた基礎的なITリテラシーを組織として整えた上で、「どの業務で、どこまでAIを使えるのか」を想像し、判断できる状態を作ることが重要だと考えています。
併せて、正解が用意されていない中でも、自ら仮説を立てて試行錯誤できる人材を育成し、自由に発想できる環境を整えることが、生成AI活用を一過性で終わらせないための鍵になると感じています。

担当者・土岐 瞬一郎 氏

貴社のAI実装の壁は、どこにありますか。
貴社のAI実装の壁は、
どこにありますか。